02




「甘いものが好きなの?」

受験勉強の合間を縫い、この時間までと決めた上で会うのが常となっていた私達は、休憩も兼ねて時々寄り道をした。
今日は公民館で試験本番に向けて最後の追い込みをした帰り、お腹が減ったと本音を零してしまった私に佐伯くんが付き合ってくれた形だった。

「前もパンケーキ食べてたじゃん」

両想いになった時期が時期だったので、実を言うと二人きりで会って何かを食べた事は片手で数えるほどしかない。
だから、前、がいつなのかすぐにわかった。

「あ、でもあの時は美味くなさそうに食べてたよな。今日は美味い?」

友達の恋が成就したのだと報告とお礼に連れ立った十月の放課後、要するにいじけていた私はプチパンケーキとクリームソーダを注文し、秘密を守ってくれたかの人にはテリヤキバーガーのセットをごちそうしたのだ。

「……うん。美味しい」

二月の初め。
小春日和の午後三時過ぎ、凍れる風の吹く外と打って変わって眠気を誘う暖かい店内、向かいの席で肘をつく人が笑って頷いている。
私はテーブルの上に乗ったホットミルク、エンゼルフレンチとポン・デ・リングをまじまじと見詰めた。流れのまま骨と関節で微かに出っ張った手元へと視線を移せば、赤いマグカップに注がれたコーヒーから湯気が立っていて、傍にはゴールデンチョコレートが一つ。
三個も手に取る食い意地の張った子だと思われたくなくて迷った末に諦めたドーナツも、佐伯くんの左手近くにあるといつもよりひと回り小さく見える。
そんな細かい差にまで意識が及ぶのだ、改めて考える機会はなかったけれど言われた通り甘い物好きなのは間違いない。
佐伯くんは私も知らない私の事を当てて来るので、たまに返答に困ってしまう。

「今、変な間があったぞ」
「………初志貫徹の佐伯くんについて思う所があって出来た間だから」
「それって褒めてる?」
「貶してはない」
「アハハ、なんか意味深だなあ」

口にしておきながら踏み込んで問い質さず、今日も今日とてきらきらと目映い眼差しを自分のトレーへ落とす。
爽やかに受け流されたのと一緒だ、こんなのは。
私なら黄色いクランチを零さないようある程度のサイズまで千切る所、そのままかぶりつく人は基本的に何を食べていても顔が崩れない。多分、大あくびをしたってブサイクにはならないのだろう。
羨ましくもあり複雑でもある心境で眺めていると、凛とした声の発生源たる唇が語った事を脳が勝手に再生させる。
(今度は俺が見つける番)
胸の中、上書きするみたいに自分の言い方で辿ったはいいが余計に恥ずかしい気もして来てこっそり唾を飲んだ。


いつだったか、施錠するからと追い出された図書館からの帰り道、真っ暗闇を弾いて通った響きが生き生きと蘇る。
にしても、志望校が一緒で良かったな。
唐突だったので首を傾げて見上げる。
だって、寂しがり屋じゃん?
しっかり目が合っていようといまいと、紡ぐ言葉に嘘や取り繕いが混じる事はない。
俺に愚痴ったのもそう。
たじろいだ私を傍にいる人が気づかないわけはない、しかし続く音が大層浮かれているよう聞こえてしまう。

『これからは高校でもっと見つけるよ。キミが色んな事見つけるのが上手いようにさ。だから……今度は俺が見つける番。受験、頑張ろうな』

繋いだ手が冬なのにすごく熱くて、私はまたしてもきちんとした返事が出来なかった。


佐伯くんは心に決めて形にした言葉に責任を持つ人なのだ、律儀というか一本気というか、発言通りに実践している。
あからさまな言動は取られていない所為で想像以上にわかりにくくて、いちいち真っ赤になって小さくなるしかない。
悟られずに見つけるのは慣れていても見つけられる側に立った経験なんてなかったし、その気になれば情報収集や目のつけ所の話に限らずあらゆる面で人より器用にソツなくこなす佐伯くんの方が、よっぽど強いのではないだろうか。
私なんか男の子っぽいのに綺麗に整っているという、よく確かめてみれば不思議な面立ちの彼のひと口が意外に大きい事を、最近初めて知った。
元々追いかける対象でなくあえて避けていた期間もあるから、私の中の佐伯くん情報ははっきり言って充実していない。だったら友達の為に奔走していた頃、集めに集めた陸上部の男子の方がデータ量で勝っている。
そんな風に思い返すきっかけさえ、忍者だくのいちだと六角中予備軍の子達に持て囃され行動パターンを予測するのが得意だったはずの自分じゃないのだから、微妙に釈然としなかった。








「気軽に会えないからこうなるのかな、俺」

つかの間のデート代わりだったドーナツを食べ終わるまでのひと時。
あらかじめ決めていた時間をきっかり使い果たし外へ出たら、空は夕模様だった。
薄茶の髪が暮れかかる陽を浴びて煌めいている。
長く伸びた二つの影が歩道へ垂れて、家の屋根や壁、ガードレールに至るまで橙色が灯り、気の早い外灯はぼやけた光をつけ出した。

「キミがあんまりいじらしいから隠れなくていいって言った事については後悔していないにしても、だ」

佐伯くんの横顔は、一日が終わりかける夜の手前でも綺麗。

「いい事ばかりじゃないのかもしれない。あ、いや、にとってはいい事だよ。じゃなくて、俺の勝手な気持ちの問題」

参考書やノート、筆記用具が詰め込まれた鞄はお世辞にも可愛いとは言えなくて、ずっしりとひたすら重たい。
受験生の春が来るまで終わらない現実が肩や背中に乗っかっていても、この人の傍にいて話しているだけで何か心が軽くなる。

「俺にしか見つけられないままの方が良かった…ってね。たまに思っちゃうんだよな」

自分が見つける番だと宣言した佐伯くんは、私が今考えてる事、わかってるのかな。
なんとなく簡単に見つけられたくない気持ちが芽生え、唇を閉ざし声にしないで独りごちる。
霧雨に包まれた日に比べて白く丸まらない息を流し耳を澄ましてみると、淡い潮騒が掠れて心臓にゆったり響いた。
先の角を左に曲がって進めば道が二つに分かれていて、右手側は海を見渡せる小高い丘に続いている。
少し開けたその場所は、夏は背の高い草に覆われ飛び込む勇気など一切沸かないけれど、冬枯れの季節になると一体いつ設置されたのか古びたベンチが顔を覗かせるのだ。散歩コースの途中のちょっとした休憩にでも、と誰かが手作りしたのかもしれない。
情景を思い出しながら三、四歩、並んで隣を歩く。
冷たい空気を吸い込んでクリアになる頭がまた勝手に逆行する。



付き合って初めてのクリスマスの事だ。
準備をするには時間がなく時期も悪かった。
プレゼントを用意するのもギリギリ、特別なデートは当然出来ず、どこもかしこもカップルだらけだしせめて場所だけでも変えようと提案したのが、脳裏に浮かんだ休憩所とも呼べない、かろうじて座れるかな程度の僅かな空間だった。
今日寒いけど天気はいいから、見晴らしのいいとこから海を見よう。
切り出して、意気揚々と道案内を買って出た私に対し、佐伯くんはやけに真面目な顔で黙り込んだ。天井知らずのきらきらオーラでいいよ、行こうと快く頷いてくれるものと決めつけていたのでちょっと面食らう。

「あの……佐伯くん、どうかした?」
「それいつ知った?」

固さの残る声音で問われもっと驚いた。

「えっ? いつだろ、子供の頃のかくれんぼかな。何歳の時だったかは忘れちゃった」

でも気圧されるほどの威力はなく、比較的すんなり答えが出て来た。
ぴたと立ち止まっていた人が軽く息をつく。

「なんだそっか。俺はてっきり、また尾行中に見つけたのかと思ったぞ」
「びこっ……!? あ…なんだ、夏の事?」
「ああ。アイツを追い掛けてる時にばっか近道とか眺めのいい場所見つけてるって、自覚してないだろう」

はあ、それが何か?
心の声が顔に出ていたのか、今日はコートを着込んでいる佐伯くんが首を一回斜めに振って歩き始める。

「違うってのは俺だってわかってるさ。だけどキミが見つけるいい所って全部陸上部繋がりじゃん? 正直ずっと面白くなかったよ」

雷に打たれたみたいだった。
喉が引っくり返り過ぎて裏声にすらならず、呼吸だけが無駄に行き来して、周りの時間が一斉に止まった錯覚に捕まるほどだ。
胸の真ん中だけが大騒ぎしている。

「え、え…ええ?」

衝撃に比べ口を割る返事が本当にぱっとしない、言われた事の半分も受け取れていない気がした。
うろうろと思考が戸惑ったあげく、思い当たる節をランダムに当ててゆく。
収穫祭の日に、自転車で駆け抜けた近道。
お弁当を食べながら花壇のコンクリートブロックに腰掛けて、校庭のベンチもいいけどここのが一直線に見えて好きだと説明した。
その時の穏やかでも落ち着き払った声や、難しい顔で口を噤んだ瞬間の光景が今さっきの告白と繋がって、急に抜き出で色づいた記憶が私の背中を内側からどんっと無理矢理押し出そうと暴れる。
私はみんなに優しくて好かれる佐伯くんが憎らしいと心の中で睨みつけ、みっともないヤキモチだって妬いてしまったけれど、反対に妬かれる可能性について考えた事は一ミリもなかった。
困惑に高鳴りや緊張に似た何か、顔に熱を注ぐものが差して混ざって転がり空回る。上滑りする舌があたふたしてしまう。

「で…でも、あの、そんな、不可抗力っていうかぐ、偶然だし、別にあの人の事なんとも思ってない。だいいち友達の彼氏で、」
「知ってる。でも嫌なものは嫌だ」

途中も途中で斬り捨てられた上、キリッとした物言いで打ち返されてはどうする事も出来ない。
もう黙るしか選択肢の残されていなかった私へ、どこか張り詰めた雰囲気を纏っていた佐伯くんが相好を崩し、薄青い空の下で爽快に笑い零す。

「これからは俺と一緒にいる時か、俺の事追っ掛けてる時に見つけてよ。それで見つけたら必ず俺に教えて?」

十二月の低気温も吹っ飛ばす輝かしいばかりの笑顔で瞼の裏が白んで痛む。
頬に全身の血が集まって顔の肉が腫れて膨らんだ。実際に起きるはずのない現象にもかかわらず確信を抱くくらいものすごく恥ずかしくて、涙目になっているのが自分でもわかる。
持ち主の私に断りもなく早鐘を打つ鼓動でいっそ吐きそうだ。
胸が高熱で詰まって苦しい。
こんがらがった感情が思いっきり躓いた。

「……さ、佐伯くんのっ…タラシ!」
「なんでだよ。本当の気持ちを言ってるだけ……ってこれ前にも言ったな、ハハッ!」
「笑いごとじゃない! ほんとなんですぐそ、そういう……もっと恥ずかしがって!」
「え、俺? いや俺だって今恥ずかしいって。情けないなぁとも思うし」
「嘘。ほんとに恥ずかしがってる人はそんな堂々としないもん!」
「アハハ」
「しかも流すし!」

六角中のロミオと名高い、けれど中身は人が言うほど王子様でもない青々とした海の似合う彼が、地団駄を踏み出しかねない私へ利き手を差し伸べる。
お手をどうぞ、お姫様。
マンガだったら吹き出しにこう書き込まれるに違いないきらきらの笑顔で、

「よし。じゃ行こっか。俺の知らないを見つけるのがクリスマスってのもさ、考えてみたらなかなかいいもんだよな、うん」

仮にも付き合いたての彼女の訴えを耳に入れているとは到底思えない、相変わらず過ぎるセリフを投げ寄越すのだった。



ジェットコースター展開とはよく言ったもので、何もかもがスムーズに進むあまり残念ドッキリでしたとどこかでネタバラシされるんじゃないか、たまに疑心暗鬼に陥る。
その都度佐伯くんが逸れない眼差しではっきり気持ちを伝えて来るから、夢じゃなくて現実なのだと身を以って味わうしかない。
私はもしかしてとんでもない男の子を好きになってしまい、これまたとんでもない事に他に類を見ない誠実さで想いを返されているのでは。
普通なら怖気つくところ、彼特有の優しく清かな空気が体から強張りを取り除いてゆく。
心変わりや浮気を疑っているのでもない、全くないけれど、自分が佐伯くんにとって初めての彼女じゃなかったらどうしようと本気で不安になる。怖すぎて聞けていない為、今のところ真相は闇の中だ。
だってすごく嬉しそうに笑ったり、打って変わって背筋の粟立つ真剣みを帯びた瞳に見詰められたり、一度聴いたら忘れられない声で特別なものを大切に撫でるように名前を呼ばれ、芯の通った口調で気持ちを告げる佐伯くんを知っている子が私以外にいるだなんて考えただけで落ち込むし、絶対やだ、人目も憚らず叫んで泣き喚きたい衝動に駆られる。

「どうやら俺は自分で思ってた以上にヤキモチ妬きみたいだ」

でも言葉尻に軽やかな笑みをくっつけ、何でもない風に語る人には意地でも伝えない。簡単には見つける番を譲らない。
自分ばっかすらすら言ってズルしないで。
勝負を吹っ掛けられ負けてばかりで面白くないとむくれていた頃の私が、往生際悪く顔を覗かせる。

「佐伯くんちょっと屈んで」

場を断ち切ったも同然の言い方にも、不思議そうにまばたきしながら従ってくれた。

「ん、こう?」

デニムの太腿へ両手をつき少々中腰になった人に、半歩近づく。
ちっとも柔らかな表情ではない、恋人らしい顔つきにも見えないだろう、大いに自覚しつつ前触れもなく指を伸ばして無遠慮に触れる。
私のそれより格段にすっきりとして無駄のない頬、硬い顎のライン。
凛々しい眉毛とすぐ傍の薄くも厚くもないちょうどいい瞼に、こめかみの小さな窪み、綺麗に生え揃った睫毛、目の下の骨から通った鼻筋へ。
順繰りに、丁寧に確かめたのち、最後ははじめの頬に戻ってみた。

「なんだよ、くすぐったいぞ。どういうつもり?」

透き通る光を湛えた対の瞳が音もなくささやかに瞬いている。

「私理論派だから、何事も確かめなくちゃ」

大好きな人が声をあげて笑う。釣られて動く表情筋を指の皮膚で読み取って、大事に覚えておこうと心にも体にも刻みつけた。

「佐伯くんは目立ってて見つけやすい分、みんなに色々知られてるでしょ? だから私にしかわからないとこを探すの」
「へえ?」

簡素なひと言と違って目も唇も綻びとても嬉しそう、語尾が滲んで溶けている。
夏の一件でそれなりに鍛えられた記憶力をフル活動させた傍からまた知らない笑い方をされ、更に気合を入れるしかない。

「誰にも言わないでね。私が見つけた佐伯くんの事。内緒にしててね」
「……ああ、いいよ。誰にも言わない」

約束すると紡がれた声に、炎めいた情熱が密やかに宿っている。
甘いものが肌下を行き過ぎ体の隅々まで温めた。
静かに喋っている時は口元の筋肉がどう動くのか添えた掌で調べていたら、予想だにしない続きが不意にやって来た。

「で、。唇」

はっと息を継ぐ。
いつの間に私の手の間を掻い潜ったのだろう、人差し指で自らの下唇を二度ほど軽く叩いた人は、アイドル顔負けのウィンクをして来そうな煌めく雰囲気を纏っている。

「唇はいいの?」

妙な沈黙が落ちた。
やわい速度で風が吹き、人も車も通る気配はなく、時間の流れが緩やかになった。
これはつまり、触れという事か。
えええ、と率直に零せば、何事も確かめるって言ったのはそっち、痛い所を突かれて逃げ場がなくなる。やってしまったと悔いた所で後の祭り、中学三年生の平均身長を越す人を私の都合で屈ませておいて、いえもういいです、などと早々に引き下がるのも悪いし何より情けない話。
く、と眉間や体の芯に力を入れて腹を括る。

「わ、かった……。…触ります」
「困ると急に大人しくなるよな、って」
「黙ってじっとしてもう何も言わないで!」
「アハハ、オッケー。じっとしてるよ」
「…………なんで目まで閉じるの?」
「俺と目が合ったままでも確かめられるんなら開けてよっか?」
「…………閉じてていい……」

佐伯くんはもう何も言わなかった。
ただ笑って、宣言通りにじっとしている。
自分から仕掛けた事なのに今更羞恥を覚え、バカなのかな、胸中で繰り返しては深みにはまって埋まった。
脈拍が激しく乱れて意識が散漫になるのを、かぶりを振って集中しようと振り絞る。
指の爪先が震えて止まらない。
細心の注意を払い、私とは違う男の子の肌を滑って辿ってゆき、ほんのちょっとだけ濡れた唇の端を掠めてすぐ、心臓がひと際大きく跳ね飛んだ。
その一瞬。
手首に大きな掌の感触を感じ、掴まれたと気づく前にすっと背筋を元に戻した人に腕を引っ張られて、手の甲に人差し指で内側には親指、と挟まれる形で捕らわれる。抜こうとする隙や暇はなかった。
半ば無理くり真っ直ぐに伸ばされた指先にちゅっと口づけが落ち、呼吸がつかえて変な音が転がり伝った。
頭上で薄く開かれた片目は私を見遣って笑んでいるよう。
冷たい指には唇が熱い。
佐伯くんのものだから、余計過敏に感じ取ってしまう。

「してやったり……なんてな! ダメじゃん、油断しちゃ。今度は俺が見つける番って言ったろ」

あいた口が塞がらなくなった。

「奇襲戦法が有効だってのはキミに思い知らされてたからさ。ま、流石に発案者にも使えるとは思ってなかったけど…通用して良かったよ」
「パ…パクッた!」
「いや、うん。だよな。けど俺の知らないを減らしていくには、一番手っ取り早いやり方だし」
「心臓に悪いから、急にするのやめて……」
「そっちが急に触って来たんじゃん?」
「……じゃあ急にするのはやめる……」
「ハハッ! 別にやめなくてもいいさ。に心臓に悪い事されるの、俺結構好きなんだ」

恥ずかしさが限界を突破して最早照れる事も出来ない。
これでまだ佐伯虎次郎という人を知っていくさ中、むしろ始まったばかりだというのだから途方もない。


お互いの知らない部分はこの先増えるのか、それとも彼の思惑通りに減っていくのか、私がこの手強すぎる対戦相手に勝てるのか、はたまた負けて貰えるのか。
それはまだまだわからない。
どちらにしろ誰にも言わない、私達だけの秘密は続いていく。
とても幸せな事に。
都合のいい夢か幻かと疑うほど。
けれどきっと、その度に佐伯くんが助けてくれるんだろう。

「困ったな。もうこれ以上はないってくらいが特別だと思うのに、どんどん好きになってく。…なぁ、、俺としてはキミも同じ気持ちだって信じたいんだけど……いい?」
「…………うん。いい…」

私の大好きな笑顔で、あたたかな体温の灯る声と一緒に、嘘みたいに真っ直ぐな心を嘘じゃない事が嫌でもわかるよう、飾らない言葉に乗せながら。





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